クレジットカードを使用して、事務用品や消耗品等を購入されている個人事業主の方は多いのではないでしょうか。
また、ETC料金、ガソリン代、携帯料金などの経費についても、クレジットカードで支払っている方もいらっしゃると思います。
このように、大変便利なクレジットカードですが、現金で支払った場合と異なり、商品等の購入日(カード決済日)と現金の引き落とし日が違うため、どのように仕訳を切ればよいか迷う方も多いと思います。
そこで今回は、個人事業主がクレジットカードで支払いをした場合の、仕訳の方法について、解説します。
目次
クレジットカードで支払った場合の仕訳のパターン
個人事業主の方が、クレジットカードで支払をした場合の仕訳の方法は、使用したクレジットカードが「事業専用」のものか、それとも「個人用」で使用しているものか、によって大きく2パターンにわかれます。
さらに、「事業専用」カードで「事業にかかる経費を支払った場合」、「個人的な支払いをした場合」、「個人用」カードで「事業にかかる経費を支払った場合」、「個人的な支払いをした場合」にわかれます。
そこで、この4パターンについて以下、具体的な仕訳の例をまじえて解説していきます(なお、複式簿記を前提として説明しています)。
クレジットカードで支払った場合の仕訳の具体例
➀「事業専用のカード」で「事業にかかる経費」を支払った場合
原則的には「未払金」という勘定科目を使用し、購入日と引き落とし日の2回にわけて仕訳をします。一旦、「未払金」勘定で仕訳を切り、それを相殺しているイメージです。
<具体例>
個人事業主が、事業で使用するプリンターのインク2,000円分を、7月5日に事業専用の楽天カード(毎月末日締め、翌月27日払い)を使用してamazonで購入した。
購入日(7/5)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
消耗品費 | 2,000 | 未払金 | 2,000 | インク 楽天カード |
引き落とし日(8/27)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
未払金 | 2,000 | 普通預金 | 2,000 | 7月分 楽天カード |
➁「事業専用のカード」で「個人的な支払い」をした場合
「事業主貸」※という勘定科目を使用して仕訳をします。
基本的なイメージは①と同じですが、さらに、事業専用の預金口座の残高を一致させるとともに、個人的な支払いを事業の経費として計上しないようにするために、「事業主貸」※という特殊な勘定をもちいます。
※事業が個人事業主にお金を貸したイメージ(事業主貸の詳細については他の投稿を参照)。
<具体例>
個人事業主が、7月10日に子供のプレゼント用にゲームソフト(8,000円)を、事業専用の楽天カード(毎月末日締め、翌月27日払い)を使用してamazonで購入した。
購入日(7/10)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
事業主貸 | 8,000 | 未払金 | 8,000 | 個人使用 楽天カード |
引き落とし日(8/27)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
未払金 | 8,000 | 普通預金 | 8,000 | 7月分 楽天カード |
なお、実務上は、上記➀②の原則的な仕訳ではなく、「未払金」勘定を使用せずに、カード使用時に「事業主借」勘定、引き落とし時に「事業主貸」勘定を使用して仕訳をするという、例外的な方法も慣例となっています。
例外的な方法の場合には、「未払金」勘定の残高をチェックするという手間がなく(注1)、また、現金で購入した場合と同じような感覚で、仕訳をすることが出来ます。
したがって、簿記に不慣れな方には、例外的な方法で記帳することを、オススメします。
(注1)「未払金」勘定を使用した場合には、「未払金」勘定の残高と、クレジットカードの明細の残高を照合し、一致させておく必要性があります。クレジットカードの利用日と引き落とし日は、通常、数カ月ずれ込むことが多く、残高を一致させるのは難しく、また仕訳の手間がかかります。
なお、原則的な方法と例外的方法を併用して仕訳をすることはできません。どちらかの方法で仕訳をすると決めたら、その方法を継続しなければいけない点に注意しましょう。
例外的な方法
➀の具体例の場合(個人事業主が、事業で使用するプリンターのインク2,000円分を、7月5日に事業専用の楽天カード(毎月末日締め、翌月27日払い)を使用してamazonで購入した)
購入日(7/5)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
消耗品費 | 2,000 | 事業主借 | 2,000 | インク 楽天カード |
引き落とし日(8/27)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
事業主貸 | 2,000 | 普通預金 | 2,000 | 7月分 楽天カード |
➁の具体例の場合(個人事業主が、7月10日に子供のプレゼント用にゲームソフト(8,000円)を、事業専用の楽天カード(毎月末日締め、翌月27日払い)を使用してamazonで購入した)
購入日(7/10)
仕訳をする必要がありません。
引き落とし日(8/27)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
事業主貸 | 8,000 | 普通預金 | 8,000 | 個人使用分 楽天カード |
➂「個人用のカード」で「事業にかかる経費」を支払った場合
「事業主借」※という勘定科目を使って仕訳をします。
購入日には事業用の経費を計上するために、仕訳が必要となりますが、引き落とし日には、帳簿に載らない個人用の口座から引き落とされるだけなので、仕訳をする必要はありません。
※事業が個人事業主からお金を借りたイメージ(事業主借の詳細については他の投稿を参照)。
<具体例>
個人事業主が、事業で使用するプリンターのインク2,000円分を8月5日に個人用のカード(毎月末日締め、翌月27日払い)を使用して購入した場合。
購入日の仕訳(8/5)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
消耗品費 | 2,000 | 事業主借 | 2,000 | インク 個人用カード |
引き落とし日(8/27)
仕訳をする必要はありません。
➃「個人用のカード」で「個人的な支払い」をした場合
購入日、引き落とし日ともに仕訳をする必要はありません。事業とは関係ない支払いであり、また帳簿に載らない個人用の口座から引き落とされるためです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
クレジットカードは大変便利ではありますが、仕訳に関しては複雑になってしまう面があることが、お分かり頂けたと思います。
特にカードの支払いの中に、事業用の経費や個人的な支払いが混在している場合には、仕訳が複雑になってしまいます。
そのため、できれば事業専用のカードを作り、事業にかかる経費の支払いについては、事業専用のカードのみで支払うようにすることをオススメします。
なお、個人事業主が青色申告をする場合に使用する、代表的な勘定科目を(勘定科目一覧)としてまとめましたので、参考にしてみてください。
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