経費等の決済に際して、振込手数料を支払う場面もあるかと思います。
振込手数料は金額的に少額ではありますが、事業に関係して支払ったものであれば、当然
経費として計上できます。
では、振込手数料を支払った場合、どのような勘定科目を使用して、記帳すればよいのでしょうか?
また、売掛金や買掛金の代金決済に際して、振込手数料を取引先が負担した場合などには、どのように経理処理すればよいのでしょうか?
今回は、銀行で振込手数料を支払った場合に使用する、勘定科目や経理処理の方法について、解説させて頂きます。
振込手数料の勘定科目は?
銀行の振込手数料については、支払い時に「支払手数料」勘定を使用して記帳します(注1)。
なお、売掛金や買掛金※などを、口座振込で決済している場合には、振込手数料を自身で負担するか、相手先で負担するかによって、以下のように経理処理が異なりますので注意しましょう。
※「売掛金」、「買掛金」勘定の詳細については他の記事参照のこと
・振込手数料を自身(自社)が負担する場合→自社の経費として、「支払手数料」勘定を使用して経理処理します。
・振込手数料を相手先(取引先)が負担する場合→取引先が振込手数料を負担しているので、当社において、振込手数料を経費として計上することはできません(注2)。
(注1)振込手数料は金額的に少額な場合が多いため、「雑費」勘定を使用して、記帳している方も多いかと思います。
「雑費」勘定で経理処理していても、間違いではありません。
しかし、該当する勘定科目がある場合には、出来るだけ、その勘定科目を使用した方がよいので、振込手数料については、「支払手数料」勘定を使用して、記帳するようにしましょう※。
※「雑費」勘定の詳細については他の記事参照のこと
(注2)「買掛金」の決済に際して、取引先が振込手数料を負担した場合には、取引先が負担した振込手数料の金額を、「買掛金」勘定から相殺して、残額を取引先の口座へ振り振り込むこととなります。
なお、「売掛金」の決済に際して、取引先が振込手数料を負担した場合には、単純に「売掛金」の入金処理をすればよいだけで、特別な会計処理は必要ありません。
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<具体例・仕訳>
・振込手数料を自社が負担するケース
・〇〇商事への買掛金(1月分、150,000円)を決済するため、事業専用の普通預金口座より、150,000円を仕入先の口座に振り込んだ。なお、振込手数料(540円)については、当社が負担する契約となっている。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
買掛金 | 150,000 | 普通預金 | 150,540 | 〇〇商事1月分 |
支払手数料 | 540 | 振込手数料 |
・△△株式会社に対する売掛金(4月分、20,000円)が、事業専用の普通預金口座に振り込まれた。なお、振込手数料(324円)については、当社が負担する契約となっているため、実際には4月分売掛金20,000円から振込手数料324円を差し引かれた、19,676円が事業専用の普通預金口座に振り込まれている。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
普通預金 | 19,676 | 売掛金 | 20,000 | △△㈱4月分 |
支払手数料 | 324 | 振込手数料 |
・振込手数料を相手先(仕入先、得意先)が負担するケース
・〇〇商事への買掛金(1月分、150,000円)を決済するため、事業専用の普通預金口座より、149,460円を仕入先の口座に振り込んだ。なお、振込手数料(540円)については、仕入先が負担する契約となっている。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
買掛金 | 150,000 | 普通預金 | 149,460 | 〇〇商事1月分 |
支払手数料 | 540 | 振込手数料※ |
なお、上記の仕訳を分解すると・・・
➀買掛金 540/支払手数料 540
➁買掛金 149,460/普通預金 149,460
となり、➀の仕訳で、取引先が負担した振込手数料の金額を、「買掛金」勘定から相殺し、➁の仕訳で、相殺後の「買掛金」残額を取引先の口座へ振り振り込む、仕訳を切っている、ということになります。
・△△株式会社に対する売掛金(4月分、20,000円)が、事業専用の普通預金口座に振り込まれた。なお、振込手数料(324円)については、得意先が負担する契約となっている。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
普通預金 | 20,000 | 売掛金 | 20,000 | △△㈱4月分 |
まとめ
いかがでしたでしょうか?
売掛金や買掛金の代金決済に際して、発生する振込手数料の会計処理は、相手先が負担するか否かにより、多少複雑となります。
しかし、「買掛金」の代金決済の際に、取引先が振込手数料を負担してくれるケースのみ、特別な会計処理が必要となると、押さえておけばよいでしょう。
ここでの会計処理を誤ると、預金残高や売掛金・買掛金の残高が合わない、などのトラブルのもととなりますので、注意しましょう。
なお、個人事業主が青色申告をする場合に使用する、代表的な勘定科目を(勘定科目一覧)としてまとめましたので、参考にしてみてください。
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