相続税の申告を税理士に依頼したいが、費用がいくらかかるか不安、そもそもどうやって税理士を選んだらよいのかわからない、という人も多いかと思います。
そこで今回は、相続税申告の税理士報酬(費用・料金)の相場と税理士選びのポイントについて、解説していきます。
相続税申告における税理士報酬(費用・料金)の内訳
相続税の申告を税理士に依頼した場合に発生する、税理士報酬の内訳は大きく分けて以下の4つから構成されています※。
①基本報酬
作業時間や作業量から算出した、最低限の基本料金となります。
なお、基本報酬は、相続財産の金額に応じて決められているケースがほとんどです。
相続財産の金額が高額となる場合、一般的には作業時間や作業量は増え、税理士の責任も増すため、基本報酬も高くなるよう設定されています。
②加算報酬
加算報酬の基準は税理士によって異なりますが、一般的には、相続人の人数や相続財産が増えるごとに加算されて請求されます。
また、特殊な形状の土地や、非上場株式など、評価が難しい財産がある場合に別途請求されることがあります。
➂その他の費用
相続税の申告に必要な書類として、戸籍謄本や登記謄本などを、納税者に代わって、税理士が取得する場合があります。
これらの書類を取得した際にかかった実費や代行報酬、遺産分割協議書の作成費用などが、その他の費用として請求されます。
④成功報酬
遺産分割のアドバイスや特殊な財産評価により相続税を節税できた場合などに、成功報酬として別途報酬を請求される場合があります。
成功報酬の計算方法や料金体系によっては、全体の税理士報酬額が大幅に増える可能性もあるので、事前にしっかりと確認しておきましょう。
税理士ごとに相続税申告の報酬体系は異なりますが、だいたいこのように4つに分類して、報酬を決めている場合がほとんどです。
税理士報酬を比較する場合の、一応の目安になるかと思いますので、押さえておきましょう。
相続税申告の税理士報酬(費用・料金)の相場
相続税の申告にかかる税理士報酬は、基本的には①基本報酬+②加算報酬+➂その他の費用+④成功報酬の合計となります。
報酬体系は税理士ごとに細かな差異がありますが、おおよその相場は相続財産の0.5%~1.5%の金額になると考えておくとよいでしょう。
なお、相続財産の金額に応じた税理士報酬の目安を表にすると以下のようになりますので、是非参考にしてみてください。
相続財産総額 | 税理士報酬の相場 |
7千万円未満 | 30~100万円 |
1億円未満 | 50~150万円 |
2億円未満 | 100~300万円 |
3億円未満 | 150~400万円 |
5億円未満 | 200~500万円 |
10億円未満 | 500~1,000万円 |
※なお、相続財産の総額が5億円を超える場合には応相談としている税理士が多いようです。
(注)この表はあくまで目安であり、特殊な株式や土地など財産評価の計算が複雑な場合や、相続人の人数が多いなど、手間や時間がかかるケースについては、別途料金が加算される場合もありますので注意しましょう。
相続税申告は税理士に依頼すべき?
結論から先に言うと、相続税申告は専門家である税理士に依頼することをおすすめします。
税理士に依頼した場合のメリット・デメリットを挙げると以下のようになります。
メリット
・相続税の申告にかかる手間暇や時間を削減できる
相続税申告は複雑で難解なため、自力で申告しようとする場合には、莫大な時間と労力がかかります。
さらに、相続税申告には期限があるため、限られた時間内で申告しなければなりません。
申告期限を過ぎた場合には、「延滞税」や「加算税」などの罰金が発生し、余計に費用がかかってしまう場合もあります。
・正確に申告をすることで税務調査が入る可能性を低くする
国税庁が発表している統計データによると、平成26年事業年度における、年間の相続税申告件数が56,239件に対して、税務調査の件数は11,935件となり、約20%の割合で税務調査が入っている計算となります。
つまり、相続税の申告をした人のうち5人に1人が、税務調査を受けているということ意味します。
自力で相続税申告をした場合には、財産評価やそもそもの申告内容でミスをする可能性が高くなるため、税務署から目を付けられやすくなる傾向にあります。
税理士に相続税申告を依頼した場合には、「書面送付制度※」などを活用することで、税務署からの信頼が高まり、税務調査のリスクを減らすことも可能となります。
また、実際に税務調査が入ってしまった場合には、税理士が対応してくれますので、安心して調査に応じることができます。
※税理士が税務申告の代行をした場合に、税理士法第33条の2第1項に規定される計算事項などを記載した書面を申告書類に添付する制度。
・生前贈与や様々な特例を利用することで相続税の節税を図ることができる
相続が発生する前に、税理士に相談することで、生前贈与や特例などを利用した、効果的な節税対策を講じることが可能となります。
相続税の節税対策は、長期的なスパンで計画的に相続財産の移転を図っていくことが重要となります。
実際に相続が発生してからでは、効果的な節税対策はとりにくいと認識しておきましょう。
デメリット
・税理士報酬を払う必要がある
税理士に相続税申告を依頼した場合には、ある程度の金額の税理士報酬を払う必要があります。
契約をする際にしっかりと税理士報酬の内訳や金額等を吟味しておかないと、思わぬ出費がかさむ可能性があります。
・税理士を探す手間暇がかかる
税理士との付き合いがないような人、例えばサラリーマンなどの場合には、税理士を1から探す必要があります。
また、一般には認識されていませんが、税理士にもそれぞれ専門分野があります。
相続専門の税理士に依頼しないと、余計に相続税を払うことになる場合もあるので注意が必要です。
税理士選びのポイント
相続税申告については、専門家である税理士に任せた方がよいことがお分かり頂けたかと思います。
ただ、税理士を探す場合には、どのように選んだらよいか迷うかと思います。
一番良い方法は、実際に相続税申告を依頼する税理士とじっくり話しをして、相談しやすいかどうかなど、気になる事を自分で確かめることです。
いくら、専門知識や経験豊富な税理士であったとしても、相談しにくい雰囲気の人とでは、適切な相続税の申告をするのに支障をきたす可能性があります。
なお、一般的には税理士と言えば、すべての税金に精通していると思われがちですが、残念ながらそうではありません。
実際には、医者のように、税理士にも専門分野や得意分野が存在します。
そのため、相続税申告を依頼する場合には、相続専門の税理士に依頼することをおすすめします。
以上の点を踏まえたうえで、税理士を探すおすすめの方法は、税理士紹介サイトを利用することです。
税理士紹介サイトとは、希望の税理士の条件を伝えると、紹介サイトの担当者がその条件に合う税理士を無料で紹介してくれるサービスです。
税理士業界に精通している担当者が間に入って、税理士を紹介してくれるので、1から自力で探すよりも効率的に、自分の条件に合う税理士を探すことが可能となります。
また、何人かの税理士と実際に面談をして見積もりをとって比較するとで、より良い税理士を選ぶことができます。
なお、税理士紹介サービスの詳細については、「税理士紹介サイトランキング」の記事を参考にしてみてださい。
まとめ
相続税申告の税理士報酬の相場は、おおよそ相続財産総額の0.5%~1.5%の金額になります。
それなりの費用がかかりますので、税理士と契約を結ぶ際には、しっかりと料金内容を確認するようにしましょう。
なお、税理士紹介サービスを利用すると効率的に税理士を探すことが出来ますのでおすすめです。