6a44e5b44d941b1acf9b6b5a705fa120_m

今年世界を大きく揺るがせた、「パナマ文書」の公表に続き、ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)はタックス・ヘイブン(租税回避地)として知られる、カリブ海バハマに設立された17万5000社余りの法人登記にかかわる資料「バハマリークス」を公開しました。

この中には、日本に関係するとみられる法人も80社余り記載されていました。

それでは、「バハマリークス」とは何なのでしょうか?また、そもそも、タックス・ヘイブンとは何か?さらに、タックス・ヘイブンの問題点は何か?について解説したいと思います。


バハマリークスとは?

「バハマリークス」と名付けられた文書は、ICIJ(=国際報道ジャーナリスト連合)が公開したもので、カリブ海の租税回避地、「バハマ」に1990年以降に設立されたペーパーカンパニーなどの法人17万5000社余りに関連する約130万件の電子ファイルです。

パナマ文書と比べて、ファイル数は9分の1、データサイズは70分の1と少量であり、また各法人の目的などは不明ではありますが、これまでバハマ政府の公開が不十分であった、役員や株主についての基本的な情報が含まれている点が、今回注目されています。

ICIJはこの資料によってアメリカやヨーロッパ、中東地域等の政治家がバハマの法人の役員などとして記載されていることが判明したと公表しています。この中には、EU=ヨーロッパ諸国連合の元副委員長であるオランダ出身のクルス氏の名前があげられており、大きな注目を集めています。

また、NHKが「バハマリ―クス」を分析した結果、日本関連の法人が少なくとも80社あり、その役員として日本人や日本企業の名前が230以上確認されました。

バハマは国際的に貨物船やタンカーの船籍の登録地として知られており、日本の企業には大手の海運会社、造船会社のほか、液化天然ガスの船舶輸送に関わっている、大手商社や電力会社の名前も多く含まれていました。

タックス・ヘイブンとは?

では、そももそ、タックス・ヘイブンとは何でしょうか?
一言で説明すると、「無税または極端に低い税率の国や地域」のことです。
なお、タックス・ヘイブンは日本語に訳すと租税回避地(そぜいかいひち)と言う意味です。
つまり、自分が住んでいる地域より税率の安い地域を利用して、合法的に節税を図るということです。

代表的なタックス・ヘイブンの場所としては、今回問題となったバハマ、イギリス領ケイマン諸島、バージン諸島といったカリブ海の島国が挙げられます。

これらの国々のほとんどは、自国に有力な産業を持たない非常に小さな国であり、国際競争に勝ち抜く手段として、外国資本や外貨獲得の為に、意図的に過度な税制上の優遇措置をし、企業や富裕層の資産を誘致しているという側面があります。

タックス・ヘイブンの問題点

タックス・ヘイブンは、先進各国にとっては非常にやっかいな存在であります。というのも、大企業や富裕層などの資金が、自国からタックス・ヘイブンに流れてしまえば、本来徴収すべき税金を徴収することができなくなるからです。

企業は様々な社会インフラを利用して利益をあげているわけであり、その社会インフラの維持には税収は不可欠です。

したがって、企業に社会インフラの使用料の意味もある法人税を、タックス・ヘイブンを利用して回避されてしまうと、本来企業が負担すべき税金が間接的に他の納税者に振りかかり、税負担の不均衡を招きかねないからです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。タックス・ヘイブンの利用は現況ではあくまで合法的な節税手段ではありますが、上記のような問題点があるため、今後は先進諸国が協力して規制する流れが加速するものと思われます。

タックス・ヘイブンに関しては、個人の確定申告とは直接的には関係しませんが、世界的な重大な税の問題であるため、今回は記事として取り上げさせて頂きました。