法人の決算・申告を税理士に依頼した場合、実際いくらぐらいの費用がかかるか、気になるかたも多いかと思います。
そこで、今回は法人の決算・申告を依頼した場合の税理士報酬(顧問料・費用)の相場について解説していきます。
税理士報酬(顧問料・費用)とは?
税理士報酬とは、税理士に経理や税務の仕事を依頼した場合に支払う料金です。
税理士報酬の料金は大きく分けて、2つの考え方で設定されています。
①売上高による報酬基準
「売上」をベースとして、税理士報酬を設定する方法。
売上が大きくなるほど、税理士の作業量や責任が増すと考えて、料金を高く設定していきます。
分かりやすい基準である反面、ざっくりとした料金設定となるため、税理士の仕事内容に比べ報酬が高いと感じるケースもあるようです。
②作業量による報酬基準
「作業量」をベースとして、税理士報酬を設定する方法。
売上でザックリと料金を設定せずに、作業量や作業時間に応じて、厳密に料金を計算します。
作業時間等の明確な基準で料金が計算されるため、納得して報酬を払える反面、追加作業が発生した場合には、予想以上の報酬額になるケースがあります。
現状では、①「売上高による報酬基準」を採用している税理士が多数を占めています。
ただし、最近では②「作業量による報酬基準」を採用する税理士も増えています。
①②どちらの方法にも一長一短があります。
税理士と顧問契約を結ぶ際には、①②どちらをベースに料金を設定しているか確認するようにしましょう。
税理士の業務内容と報酬(顧問料・費用)相場
税理士が行う代表的な業務と、業務ごとの報酬相場について簡単にまとめてみました。
<定期的に行われる業務>
・巡回監査(訪問)→一回の訪問につき5,000~10,000円
税理士が法人(会社)等に訪問し、会社が抱える様々な問題(経理・税務・融資など)の相談を受けます。
通常は、月1で訪問することが多く、訪問頻度に応じて料金がアップするように設定されています。
・記帳代行→5,000~10,000円/月
法人のかわりに、日々の経理処理(記帳業務)を税理士が行います。
なお、記帳代行を税理士に依頼した場合、領収書や通帳のコピーなどを税理士に定期的に郵送等で送る必要があります。
・給与計算→1,000円/人
従業員の給与計算等を税理士に依頼した場合に発生する費用です。
従業員一人当たりいくらと設定しているケースがほとんどです。
<年に一度行われる業務>
・決算・申告→月額顧問料の4~6カ月分
税理士のメインの業務であり、法人に代わって、決算・法人税の申告を行います。
報酬額は顧問料をベースとして、売上高や作業量をなども加味して決定されます。
・年末調整→従業員10人までは基本料金2万円、+1人増えるごとに1,000円追加
従業員等の年末調整を、税理士に依頼した場合に発生する費用です。
報酬金額は従業員数により設定されます。
・消費税申告→決算料に含まれる
消費税の申告を税理士に依頼した場合にかかる費用。
消費税を納める必要がある場合には、決算・申告と一緒に税理士に依頼することになります。
基本的には別途料金は設定されず、決算料のなかに含まれます。
税理士報酬の相場表
売上高を基準とした場合の、税理士報酬の相場を表にしてみました。
なお、追加業務(給与計算や年末調整など)を依頼した場合には、別途料金がかかりますので、あくまで目安として参考にしてみてください。
年間売上 | 月額顧問 |
記帳代行料・月額 (帳簿作成費用) |
決算料 |
1,000万円未満 | 2万5,000円~ | +5,000円~ | 月額顧問料の4~6ヶ月分 |
1,000万円以上3,000万円未満 | 3万円~ | +5,000円~ | |
3,000万円以上5,000万円未満 | 3万5,000円~ | +5,000円~ | |
5,000万円以上1億円未満 | 4万円~ | +1万円~ | |
1億円以上5億円未満 | 6万円~ | +1万円~ | |
5億円以上 | 応相談 | 応相談 |
税理士報酬を安く抑える3ステップ
最後に、税理士報酬を安く抑えるおすすめの方法を紹介します。
①税理士紹介サービスを利用する
これまでは、税理士を探す場合、知人からの紹介やネット等で検索して探すのが一般的でした。
ただ、これらの方法では、複数の税理士から見積もりをとったり、顧問料の値下げ交渉をすることが難しく、税理士の言い値で契約してしまうことになります。
税理士紹介サービスを利用すると:
税理士紹介サービスとは、税理士紹介会社が希望の条件にあう税理士を何度でも無料で紹介してくれるサービスです。
税理士業界に精通した紹介会社が間に入り、見積もりをとったり、税理士と価格交渉もしてくれるので、納得いく報酬額で税理士と契約を結ぶことが出来きます(税理士紹介会社ランキング)。
②見積もりを取る
例えば、引っ越しをする場合などには、複数の業者から見積もりをとって、料金や作業内容からどこがベストか検討するかと思います。
顧問税理士を選ぶ際も、同じように何人かの税理士から作業内容や報酬額についての見積もりをとり、比較検討することで、顧問料を安く抑えることが出来ます。
税理士と顧問契約を結んだ場合には、長期間にわたり顧問料等の報酬を支払うこととなります。
しっかりと、比較検討したうえで税理士と契約するようにしましょう。
➂必要ない業務を削る
作業内容の見積もりをとったうえで、必要ないサービスをカットしたり、自分で出来る作業は自分ですることで、税理士報酬を値下げすることができます。
例えば、月1回の巡回監査を年1回にする、記帳代行を依頼しない、などです。
ただし、法人の場合には、個人事業主の場合とは異なり、税理士に相談することが多々あるため年1回では厳しいかと思います。
3カ月に1回、6カ月に1回と自社にとって最適な頻度で巡回監査を依頼することで、顧問料を下げることができます。
なお、記帳代行を依頼しない場合には、自社の経理部等で帳簿を作成し、巡回監査や決算・申告の時に帳簿内容を税理士にチェック・修正してもらうことになります。。
最近では、会計ソフトの発達により、自計化(法人側で帳簿作成をすること)をして、税理士報酬を節約している法人も増えています(freeeを使えば税理士は不要?)。
まとめ
法人の決算・申告を税理士に依頼した場合には、様々な費用がかかります。
報酬相場を目安に、作業内容と料金等をしっかりと把握して、納得いく報酬額で税理士と契約を結ぶようにしましょう!