会計ソフトが大幅に進化したことにより、簿記や税法の知識がなくても、簡単に法人の決算が出来るようになったと言われています。
では、本当に会計ソフトを使えば、税理士に頼まずに、自分で法人の決算や法人税の申告書を作成できるのでしょうか?
そこで、今回は法人の決算は自分で出来るのか!?それとも税理士に頼むべきか、解説していきます。
会計帳簿の作成は簡単になった!?
法人の決算や法人税の申告書を作成する大前提として、日々の取引を仕訳というかたちで記録した、会計帳簿を作る必要があります。
仕訳には様々なルールがある(借方貸方、勘定科目etc)ため、簿記の知識が必要となります。
そのため、簿記を知らない人が、会計帳簿を作るのは難しいと言われていいました。
ところが、会計ソフトの進化により、簿記の知識がなくても、会計帳簿を作成することが出来るようになりました。
例えば、大手クラウド会計※ソフトメーカーのfreeeの入力画面はこのように簿記の知識がなくても、簡単に仕訳を入力できるように工夫されています。
※クラウド会計ソフトとは、従来の会計ソフトのようにパソコンにインストールして使用するのではなく、ネット上で利用する会計ソフトのことです。
また、法人の場合には、個人事業主よりも日々の取引数が多くなるため、入力すべき仕訳数も多くなります。
毎月、何百という仕訳を自力で入力するためには、大変な手間と時間がかかりました。
その点についても、会計ソフトの進化により、入力の手間が大幅に減りました。
さきほど、紹介したfreeeのようなクラウド会計ソフトを利用すれば、ネットバンキングやクレジットカードの取引を会計ソフトと連動することで、自動で仕訳を入力することも可能です。
この機能を上手く活用すれば、仕訳入力にかかる時間を大幅に削減できます。
さらに条件がそろえば、完全自動で会計帳簿を作成することも可能となりました。
法人税の申告書の作成は難しい!?
会計帳簿の作成は、クラウド会計ソフトの進化により、大幅に簡単になりました。
では、法人税の申告書の作成はどうでしょうか?
法人税の申告書についても、会計ソフトの進化により、一見すると簡単になったように思えます。
ただし、実際には、まだまだ自分で作るのは難しいと言えます。
法人税の申告書についても、市販の税務申告ソフトなどを使えば、一応作成することは可能です。
ただし、入力内容が正しいかどうか判断するためには、しっかりとした法人税法の知識が必要となります。
法人税の申告書では「別表」と言う書類を多数作る必要があり、その別表の繋がりをしっかりと理解したうえで数字を入力する必要があります。
法人税法は簿記とは比較にならないほど、複雑で難解なため、自分で調べながらチェックするには大変な労力と時間がかかってしまいます。
間違った申告書を作成して、申告・納税をしてしまうと、修正申告をしたり、過少申告加算税を支払うはめになったりと、さまざまなリスクが発生します。
また、法人税法は毎年のように改正があるため、自分でその情報を調べて、申告書を作成するには、多大な時間と労力がかかってしまいます。
その手間暇を考えると、ある程度の費用を払ってでも、税理士に決算・申告を依頼したほうがメリットが大きいはずです。
税理士に法人の決算・申告を依頼した場合のメリット・デメリット
では、実際に税理士に法人の決算・申告業務を依頼した場合はどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
メリット・デメリットを簡単にまとめてみました。
メリット
・煩わしい経理業務を丸投げすることにより、本業に専念できる
・税務調査が入った場合に、対策が立てやすく、修正申告や追徴課税されるリスクが減る
・節税のアドバイスや、場合によっては経営コンサルをうけることが出来る
デメリット
・顧問報酬や決算料などの費用がかかる
・自分に合った税理士を選ばないと、コスト以上のメリットを感じられない場合がある
・ごく小規模な法人(売上高1000万円以下)の場合には、自分で決算・申告を済ませたほうがコスパがよい場合がある
税理士に法人の経理業務から決算・申告を依頼した場合には、月々の顧問料+決算料(月額顧問料の4~6倍程度)の費用がかかります。
ただ、ある程度の規模の法人の場合には、必要経費と割り切って、税理士に経理・決算・申告を丸投げして本業に専念したほうが、メリットが大きいと言えます。
また、法人の利益が大きい場合には、様々な節税対策をうけることで、顧問料に見合うだけの節税効果が期待できます。
さらに、税務調査が入った場合には、税の専門家である調査官に素人が反論するのは難しく、経費などを否認され、追徴課税されるリスクが高くなります。
この点、顧問税理士がいれば、税務調査が入る前に、事前にしっかりと対策することが出来ます。
税務のプロである税理士を通じで、こちらの主張をしっかりと伝えることにより、追徴課税を回避することも可能となります。
なお、多少手間ひまがかかっても、顧問料を少しでも安くしたいという人には、会計帳簿は自分で作成して、決算・申告だけを税理士依頼するのがおすすめです。
経理業務は自分でやり(例えば、freeeなどを利用する)、決算・申告だけを年1回、税理士に任せるといった契約を結べば、月々の顧問料はなしで、決算報酬だけで依頼することも可能です。
なお、効率的に自分にあう税理士を探したい場合には、税理士紹介会社を利用するとよいでしょう。
税理士紹介会社は無料で、希望する条件の税理士を紹介してくれます。
顧問料を安く抑えたい方には、税理士紹介会社の中で「税理士ドットコム」が特におすすめです。
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税理士紹介会社の詳細については、こちらの記事を参考にしてみてください。
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まとめ
結論から言うと、法人を経営している場合には、顧問税理士をやとって、決算・申告を依頼することをおすすめします。
クラウド会計ソフトの登場により、会計帳簿の作成は容易になりました。
ただ、法人税の申告書の作成はまだまだ難しく、自力で作成するのは困難です。
また、法人の場合には、個人事業主よりも節税の余地が多く、さらに税務調査が入る可能性も高くなります。
なお、実際には、法人税の申告に関しては税理士に依頼している割合は9割近い※というデータもあります。
税金に関わる様々な問題に効率的に対処するには、顧問税理士に相談するのが一番です。
顧問料等の費用はかかりますが、法人であれば税理士を雇うメリットは大きいはずです。
※財務省 平成27年事務年度 国税庁実績評価書 資料より